岡田好永展 水鏡

Yoshie Okada

2004.11.01-21

 
   岡田好永は、これまで人形作家として国内多数の創作人形展はもちろん、海外の展覧会にも出展しています。当ギャラリーでの初の個展は、等身大の人形のインスタレーション作品や、抽象的な平面作品など、我々の持つ人形のイメージをいい意味で裏切る展覧会でした。
 2年ぶりの個展となる今回は「水鏡」をテーマに、目に見えるものと見えないものの表現を試みます。確かな技術と腕を持ったベテランの人形作家の新作展です。

岡田 好永 コメント 
水鏡
 水面にうつるすべてのものは風にゆれ。
 水の表面に現れた象を視覚はとらえています。目は光を受容する器官で光のなかで騙しとらえていく自分が五感という器官のみで世界を再放出していると言います。
 一見自分は観察者ではあるがそこに映るすべてのものと同一的にゆらぎ続けている。このゆれはどこからくるのでしょうか。仏教では心には色もなければ形もないしかし対象を映しだすという属性を有している、心に映るものは確固として存在しているかのようですが、よく分析してみれば実体を欠いていると言います。
 実体を欠いているのであれば鏡の中でゆれている根源的な不安を消滅することができるのでしょうか。また、映しだす属性を有しているのであれば自他共に共鳴し波動を感受している。それはどんなに微小な一波も瞬時に無意識のうちに受けていることになります。この連鎖はたとえばテレビニュースの中で他国の忌わしい内戦の様子やテロによる無差別殺人の様子など他の喜びのニュースよりも多く放送されています。それはテレビのスイッチをオフにすれば終わることでしょうか。この不幸な衝撃波は次の瞬間すべての生き物のうちに見えない傷となって身体に刻み付けられていきます。人は己の傷の在りかに気付くこともなく毎日淡々と生活しているのかもしれません。たとえ無力な身体であっても誰かの傷が少しでも癒えますようにと願うことはできるかもしれません。
 私にとって人形を作るということは、その願いにも似て人の内面と外面の写しの現れかもしれません。                     


【展覧会関連イベント】
‘トークイベント’
11/3(水・祝) 2:00pm-4:00pm 駒青壇(真言宗・善通寺派)
11/13(土) 6:00pm-8:00pm 藤田博史(精神分析医/成形外科医)
‘「オマージュ元藤火華子」上映会’
11/19(金) 7:00pm- 映像 塩野谷みちる


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