岡田好永人形展
Yoshie Okada
忘れ音wasurene

2006.11.7-21
塩野谷みちる写真展
Michiru Shionoya
忘れ音wasurene

2006.11.7-21

岡田の当ギャラリーでの人形展は2002年より3回目を迎えます。
塩野谷みちるの写真展は1998年(当時ストライプハウス美術感)より2回目となります。
 「忘れ音」とは「季節を過ぎて虫などの鳴く音」のことです。
 消えゆくかつてはあったものを、岡田は創作人形で、
塩野谷は舞踏家大野一雄(100才)の写真で表現します。



忘れ音  
岡田好永


インドネシアのジャワで影絵人形ワヤン・クリ人形芝居が日常的に上演されている。その舞台では左側に悪なる人物群、右側に善なる人物群を配置し二人の相反する世界を自由に操れるのが人形遣いのダランです。

この世は善と悪があって成り立っていてその調和が崩れると病気や天災が生じると信じられている。この調和を均衡にする役目がダランです。人形とガムラン音楽とダランの語りの三位一体の総合芸術でそのうち一つでも他のものと歩調を合わせないとすぐに崩れてしまう。ちょうど日本の文楽人形と似ている。

リアルな人間の葛藤を演じるのではなく、いつも神に守られた空想、神話の世界をそこに出現させる。ダランは神々、精霊、神話上の英雄、目に見えない存在とも自由に交流ができその特殊な能力をもって人々のグルと呼ばれる。

単に人形の操り方だけの訓練をすればいいのではなく心身の修業も必要でそのために何十年という人間的な修業が求められ肉体的、精神的にも強靭でなければならない。

この劇を子供の頃から鑑賞している彼らのものの考え方は、例えば、細胞の一つをとってみても風習が水のように体に浸透されアニミズムの作用が感性や想像力となって継承されているのではないでしょうか。

多様なアニマは現代アートにもインスピレーションの源として影響を及ぼしている。

このような自然界との対話を通して乾燥した都市の中で固着したシナプスの伝達式を組み替える原動力にもなりうるでしょう。

どの国も近代化の波にのまれワヤン・クリの人形芝居も忘れ音になりつつ思いを馳せた。
忘れ音
-舞踏家 大野一雄-  塩野谷みちる

池のほとりに あやめが咲いている
自分があやめになる
生命を育てた宇宙を見る
あなたが花になる
死んでいるのか 生きているのかわからない
お父さんが亡くなったけど
今は あなたが入れ替わる
自由に
花も草も宇宙


99年大野先生のレッスンに通っていたころに、メモした言葉
いつも先にお話があり、そのイメージを持って一人一人が踊る
先生の視線に促されながら、頭で考えず腹能を使い
身体の動くままに続けていく
忘れていた身体を思い出す 貴重な時間


忘れていた音を思い出すのは、時間を選ばずに呼びかけてくる
日本語の忘れ音とは意味を違えるが、
遠い記憶の果てから微かに、しかし、心に強く響かせる


インド音楽には、アナハートといって自らの心の中に生まれてくる純粋な音楽があると云う
それによって、天空の何処からか語りかけてくるひとつの意志、善意を知り
演奏家は光や風の存在に近付いていくということ


100才を迎えられる大野先生の身体の中には、どれくらい光や風をお持ちなのか
自然と同調され,無限の宇宙を花の中にも見られ
「花なのか 人間なのか 私なのか」
あるがままに,そして愛で包み込められる
深い神性と魔性
次元を超えて印画紙に止めてみる
岡田好永 略歴
1955
茨城県生まれ
1975
西洋陶芸インストラクターの資格習得
後 カルチャーセンター等で指導
1979-
アートサロン青山陶芸教室主宰
1984-
人形ファンシー商品企画(専門店、デパート)
1995-
造形会社中村工芸 所属
イベント造形美術および人体用シリコンボディー制作
1996
NHK連続ドラマ「家へおいでよ」人形指導
1997
サンタフェ・ドールアート出展(U.S.A)ドールフォーラムジャパン
1998
エンジェル・キーパー出展(U.S.A)ドールフォーラムジャパン
2002 個展「謙太郎へ」 ストライプハウスギャラリー:六本木
2004 個展「水鏡」 ストライプハウスギャラリー:六本木
2006 アイデックス出展 (U.S.A)ドルスバラード
「忘れ音」ストライプハウスギャラリー(六本木)

その他 創作人形展多数
骨董人形修復
ドールフォーラムジャパン(DFJ)会員

塩野谷みちる 略歴
1948
北海道生まれ
文化学院(お茶の水)で油絵専攻後 彫金を始める
1984-96
現代美術写真研究所(四谷)モノクロ現像など習得後
カラー写真(風景、人物、人形)
1991,94
個展「あさきゆめみし,」ペンタックスフォーラム(新宿 大阪)
1991-99
五峯ギャラリー、陶里庵ギャラリー、北海道東川文化ギャラリー、文化学院画廊、美瑛、小松、金沢、鶴岡、鹿児島、京都、イタリア、スェーデン
1993
個展「夢み月」ギャラリーアートグラフ(銀座)
1998
個展「風の堆積-日本・ポーランド」ストライプハウス美術館(六本木)
1999-2001
個展「BUTOH FANTASIA」 (イタリア-ローマ、ウンブリア、京都嵐山、文化学院)
2005
ビデオ映像「BUTOHFANTASIA」土方巽アーカイブ保存(慶応義塾大学)
2006 個展「雨の色」五峯ギャラリー(下井草)
「忘れ音」ストライプハウスギャラリー(六本木)


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ストライプハウスギャラリー
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