美術への憧れと未知への遭遇を夢見てはじめた私の二十余年。日常生活の大切さの中から自由に変化することを求め続けながら別の世界へいざないたい自分。
布へのこだわり、布へ触れての作品づくりは私に安らぎとたくさんの夢を与えてくれます。
作品は、一貫して綿布の素材を使い布地の糸を抜く、布地を縮めて膨らませる、時には抜いた糸をループ状に引き出して、木の張手を使いながら宙吊りにし伸子で立体にするという手法を用います。また、そのときどきの思いや発想によってアクリル絵の具で彩色も施します。布と接している時は、製作している実感がわきウキウキと楽しい気分になります。
今回の作品は生成りの布自体の素材をいかしての造形です。
*伸子:洗い張りや染色の時、布帛の両縁に刺し留めて弓形に張り、縮まないようにする具。(広辞苑より)
*張手:布の両端を挟んでひもで張る道具。