佐野由美 展
宙―響きあうものたち
2012年 10月14日〜20日 会期中無休
六本木ストライプスペース Mフロア・Bフロア
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私の創作は、形には捉えられないモノ、目には見えないモノを空間から紡ぎだし、形として出現させる作業と考えている。風は形としては捉えられないが、季節の予感に命の煌きを感じさせ、遠い記憶のにおいや感情を呼び覚ます。時代を巻き込んだ様々な出来事も風が運び去る。宇宙の根源や宙に点在する何かを感じ取り、形にしたいと考えている。
かつて私はシルクロードを旅した。その地の民は死者を砂漠に埋葬する。砂を小高く盛り墓標とするが、すぐに風に飛ばされてわからなくなるという。果てしなく続くゴビ砂漠は、途切れることのない風に刻々と姿を変え、それは正に風と砂とが作り出す地球の彫刻だ。
幾多の文明が花開き滅んで行った事か―時代も文明も人間の営みもすべてを呑み込んで悠久の時を刻む砂と風。呑み込まれたモノたちは、しかし、形を持たずとも虚空に満ち満ちていると私には感じられた。
そして肉親や大切な人達との別れも経験し、死してなお通い合う人の思いの幾つかの霊的体験は、異次元もまた同じこの虚空の内にあると教えてくれた。
すべてを呑み込んだカオス、何のはずみか、時としてその一端に出くわしてしまう事もあれば、また自らの求めるところを異次元から享受する交信が私の創作なのかもしれない。
展示は上下二つのフロアに分け、Mフロアは「時空を超えて万物が響きあう生命態としての風」を、Bフロアには自らのエネルギーの修練を通して体現した「浄化と祈りの場」を展開する。
3・11鎮魂の作品 「ブルードラゴン」 を昇天するエネルギーの象徴として併せて展示する。
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2012年10月 佐野由美
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佐野由美 Yumi Sano |
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愛知県立芸術大学デザイン科卒業
以後、企画・デザインの仕事に従事
ウィンズ陶芸研究所入所 板橋廣美氏に師事(`97)
朝日陶芸展 奨励賞(`05)
朝日陶芸展 入選(`98 `01 `03 `04)
朝日現代クラフト展 入選(`00 `01 `03 `04 `06)
京畿道世界陶磁ビエンナーレ国際公募展 入選(`03 `05 `07)
国際陶磁展美濃 入選(`05)
菊池ビエンナーレ 入選(`07 `09)
長三賞現代陶芸展 入選(`09)
その他
テーブルウェアー大賞展・草月 花の器ビエンナーレ
現代陶芸めん鉢大賞展・花のすみか大賞展
日本クラフト展・工芸都市高岡クラフト展 etc.
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Mフロア
舞い降りて・・・ 128×50×25cm 磁土
Bフロア
3・11レクイエム ブルードラゴン 磁土
130×120×273cm (写真は部分)
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