Chubei Yagyu
柳生忠平個展
「百鬼楽楽」
2015年5月8日(金)-16日(土)
会場は3階ギャラリー
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「妖怪製造装置の技師、もしくは絵描鬼」柳生忠平
「絵描鬼」として、妖怪たちとまじわる時間のつみかさねのなかで、わたしの妖怪観はおおきく変容しつつある。かつてのわたしにとって、妖怪というものは、憧れであり表現方法であった。どちらかというと、妖怪たちは、アートにかかわる自分の思いを表現し、かわりに演じてもらう想像力の器だった。
けれどもいまは、目にみえない「モノ」たちが呼ばわる声にこたえて、あたまのてっぺんからつま先まで全身これ一本の筆となり、ただひたすら妖怪のすがたを描きつづけることが使命だと感じている。またそれこそが、絵描鬼であるわたしの至福の悦びである。
妖怪を描くという営みに、どのような意味があるのかと問われれば、かえすことばはみつからない。妖怪絵というジャンルは、現代の文明社会のなかで、なにか役にたつことがあるだろうか。わたしには、わからない。ただ、直感的に理解しているのは、自分たちがいまを生きるこの列島の文化から、かれら目にみえないモノの存在をなくしてはいけない、ということだ。わたしはただ、いわば絶滅危惧種である妖怪たちに、絵図という視覚的なかたちをあたえることで、日々の暮らしのなかで、人びとがかれらの気配をすこしでも肌で感じられるようにしてみたいと、ねがっている。
「妖怪製造装置」というものが実在するのではないか、というのがわたしのアイデアである。それは、妖怪をはじめとする目にみえないモノたちをこころからうやまい、あつく信仰してきた人類の歴史という時間、またそうした存在を夢見る人びとの頭脳のなかにかくされてある。他界とかドリームタイムとよばれる非現実の世界と現実の世界のはざまから、母胎としての妖怪製造装置の出入り口が、現代のみなれた日常の空間へとぐにゃりとつきだしてくる。そこから、わたしが描く、八百万(やおよろず)の異形の妖怪たちが産みだされ、増殖するのである。
小豆島は、八十八か所の霊場をめぐるお遍路の信仰がいまものこる、不思議な気配ただよう霊性の島である。海上の道をながれながれて小豆島に漂着した異人や来訪神やまれびとも、これからのわたしのテーマになるだろう。わたしは、妖怪製造装置をあやつる一技師でありたい。この島に生まれ、この島に根をおろす絵描鬼として、アートという職人技をつうじて、小豆島につたわる妖怪やカミガミの民俗の蒐集もふくめ、忘れられてゆく目にみえないモノたちの復権にもてる力をつくしたい。
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柳生忠平 Chuhei Yagyu 柳生忠平HP→● |
1976 |
香川県小豆島に生まれる |
1998 |
宝塚造形芸術大学卒、叶匠寿庵にて販促物パッケージのデザイン等に関わる |
2005 |
作家活動開始 |
2006 |
個展「柳生忠平の妖怪絵」(京都 ギャラリー青い風) |
2006-7 |
「旧坂出警察署お別れプロジェクト」(香川県坂出市 旧坂出警察署) |
2007 |
個展「化々」(銀座 ギャラリー青羅) |
2008 |
個展「宴怪」(京都二条 雨林舎) |
2009 |
個展「宴怪」(東京 アトランティコギャラリーSHIBUYA・亀福) |
2010 |
企画展「絵描鬼 柳生忠平展」(高松市塩江美術館)
個展「宴怪」(大阪 ギャラリーあしたの箱) |
2011 |
個展「雨日和」(京都二条 雨林舎)
企画展「妖怪絵図展」(高松市 TAG) |
2012 |
グループ展「地平線」(中国上海 雅巣画廊) |
2014 |
個展「百鬼創造」(南青山 Triplet) |
2015 |
個展「百鬼楽楽」(六本木 ストライプハウスギャラリー) |
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