Chizuko Magara
眞柄千鶴子展
ふたたび自然をみつめて
2012年2月17日(金)-23日(火)
このところ自然を再びみつめ直す習慣がもどってきた。そこで私の夜を彩る月の表情を追い続けた。ずっと眺めていると心が落ちついてきた。そこにかすかな暖かさが、奇跡を信じてもよいと感じさせる程の、身も心もとろかしてしまう言葉にならない何者かがあった。
しかしダラダラと無為に時を過ごしてしまったある日、その表情にはまったく別の顔がひそんでいた。慈悲深いと同時に峻厳なもの、それは刻々と進む時間そのものであるかのようだった。時が至ればあっという間に去っていかねばならない生物の無常観を超越した冷酷さ…。こうした仮借なさが私の心を傷つけ、また驚かせもした。
再出発を願って丘に登った。そこにはひときわ強い樹木が必ずある、そこへ行こう。大樹は光が恵み育てたものとして完璧な形をみせて、幹は四方へとその喜びを開花する。このように時が刻むことのできる至高の美。そして脚下には生命の再生の力強いあかしに、町々と人々の営みが広大に無限につらなっていた。 |
2012年2月 眞柄千鶴子
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