Arata Hideya
荒田秀也展
地平の周縁

2009年3月7日(土)〜24日(火)


数々の本の装幀を手がけた装幀・装画家でもある荒田秀也の
当ギャラリーでは2回目の展覧会です。
 岩手出身の荒田氏が、郷思をそそるモンゴルの地を
様々な形で描きました。
展示は平面作品約20点です。




 

 1970年代の初め、インド亜大陸文化圏にアプローチすることから、
心のふるさと「原郷」への旅が始まった。
 往古の東西交渉史を想うと、なぜか心が躍る。中国西域、中央ア
ジアと、憧れのステップルートへの旅はしばらく続いた。歩いた道
は、期せずして生まれ故郷の岩手県北部を通る、北緯40度線上に
あたっていた。陸奥の国は、かつて駿馬の産出地でもあった。
土埃の舞う、辺境といわれる国々を訪れる旅を重ねるうちに、そ
れなりの年月が経過した。そして、いずれ騎馬民族チュルク(突厥)
の故地でもある、モンゴルの土を踏んでみたいとの思いがつのって
いったのだが、近年、ようやくその願いがかなった。
 一度目は、アルタイ山麓の広大な谷に点在する、積石墳墓に残る
突厥時代の石人像を取材したときだ。二度目のときには、大草原の
なかの天然温泉で、時間を忘れて星を数えた。69個まで数えたが、
あとはもうやめた。それは、ちょうど古希を迎える年であった。

 天界は蘇生をつかさどる雄、形ある大地は雌であって、その交わ
りにより豊穣が約束される。これが、モンゴルのシャーマニズムで
いう世界観である。ここでは自然が原初的な力を失っていない。
 40年にわたる亜大陸への旅のなかでいつも聞こえていた、草原を
渡る風の音は、まぎれもなくモンゴル高原からの熱い呼び声だった
のだ。行き着いた先は、原郷・モンゴル。どこまでも広がる地平の
かなたには、まだ出会いを果たしていない、なにかが待っているよ
うな気がしてならない。

                         荒田秀也
   









         荒田秀也 Arata Hideya
   1935
岩手県に生まれる。武蔵野美術学校(現・大学)卒業。
装幀・装画家。日本図書設計家協会会員。
   1973年
造本装幀コンクール ユネスコ・アジアセンター賞 受賞
   1982年
現代童画会 会員作家賞 受賞
   2000年 公開講座・世紀末大学より PASSPORT FOR THE FUTUREを受ける。
(ストライプハウス美術館にて)
   展覧会
   1976-86 「現代童画会展」第1回より出品 東京都美術館
   1983 「亜大陸点景」スケッチ個展 銀座GALLERY MIKAWA
   1986 「亜大陸点景」個展 青山 COSY SPACE
「中国・敦煌からの絵葉書」個展 新宿日債銀ロビー                       
   1989 「旅・ねほり・はほり」個展 盛岡クリスタル画廊
   1993
「装幀・装画・素描」個展 岩手・二戸市民文化会館
「現代日本のブックデザインの潮流 図書設計展 」乃木坂アートホール
   1995 「ART-PICNIC‘95」グループ展出品 ストライプハウス美術館
   2001 「東方の時空点」グループ展出品 銀座アートギャラリー
   2002-2008 「フラクタス」新芸術集団 グループ展出品 宮崎県立美術館
   2002 「岩手グラフィックデザインの流れ1901-2002」展 萬鉄五郎記念美術館
   2003 「BOOK DESIGN NOW 2003」装幀作品出品  特種製紙総合技術研究所 Pam
   2005 「風の視覚」引田町並みリーフレット・絵はがき原画個展 
香川県東かがわ市讃州井筒屋敷
   2006 「亜大陸・点景」個展  ストライプハウスギャラリー
   2007 「亜大陸点景」個展 東かがわ市煙突広場あかりの館
「装幀・装画」個展 東かがわ市街かどギャラリー遊遊
   2008 「岩手の装丁家たち」岩手県立図書館
   2009 「地平の周縁」個展 ストライプハウスギャラリー

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