Yoji Haijima

グーテンベルクの塩竈焼き -8月の雪


2008.5/9(fri) - 28(wed) 




1984年のストライプハウス美術館での個展以来、
24年ぶりの同じ場所での個展を行います。


 






コメント
「本を炭に焼くー炭書への再生」
本というメディアは、15世紀半ば、ドイツのグーテンベルクの発明した活版印刷術によって、人間が言葉を話すようになって以来の様々な過剰を一気に拡大して、今見るような巨大な文明を作り出して来た。それも今、高度に発達する ITメディアに、文明の主役の座を譲り渡そうとしている、そのいわばグーテンベルク文明の終末にむけて、そのメディアの本を炭に焼くことで、本の果たした功績にオマージュを捧げると同時に、それが築き上げて来た環境の過剰の、ささやかな浄化を果たすものとして再生させようというものだ。
炭も本もその原料は木材。とはいえ紙は薄く、そのまま炭に焼いてもなかなかソリッドな形を得られず、試行錯誤の末、塩に浸して焼けばその侭に近い形で焼けることを、信州に古くから伝わる姨捨民話から教わり、魚を塩に包んで焼く「塩竈焼き」という料理の技法で焼くことにし、「グーテンベルクの塩竈焼き」と名付けた。思えば塩の智慧を教えてくれた民話も、本とは別のメディアであり、更に今回は同時に、メディアの始原に遡り、インカの遺跡から出土したという結縄文=キープを重ね合わせて一体とし、本を中心としたメディアの炭を焼いてみた。
作品は、塩竈焼きに含まれた塩が、大気中の湿度に反応して水に還元し、さらに8月の熱風で乾燥して再び塩に再還元し、一面に塩が吹き出た状態で展示されるが、本展では更に会期中を通してその塩が、三度び水に帰ってゆく、循環の姿を追うことによって、この「本の塩竈焼き」の持つ、それが永遠ではないにしても、この先、季節の循環とともに塩、水、塩、水・・・という形相変化を循環させるメディアとしての姿を展示した。

2008年3月












Yoji Haijima
1968 東京に生まれる
個展
1984 東京外国人クラブ「ドローイング」/東京
「光とアクア/“クローンド・ヴィーナス”」ストライプハウス美術館/六本木
1986 かわさきIBM市民ギャラリー/神奈川
メルボルンーグリフォンギャラリー/オーストラリア
1988 『母型展開』モリスギャラリー/東京
1989 『母型展開ーthe Moon』モリスギャラリー/東京
1990 『母型展開』INAXギャラリー2/東京
『母型展開』INAXギャラリー大阪
1991 『母型展開ー水の翼』麻布美術工芸館/東京六本木
1997 ギャラリーアメリア/東京青山
2003 『“クローンド・ヴィーナス”の20年展』亀甲館スタジオ/千葉大原
2004 配島庸二=1月の“クローンド・ヴィーナス”』INAXギャラリー2/東京
2008 『新註結縄文炭書』馬喰町ART+EAT/東京
『グーテンベルグの塩竈焼き-8月の雪』
グループ展
1987 日仏会館シルクスクリーン展/東京
1988 「紙による現代美術展」ニッコリギャラリー/イタリア
1990 「INO紙のことば」展/高知県伊野町紙の博物館
「第一回国際現代造形コンクール展」大阪トリエンナーレ1990/大阪
パピルスサイエンス展/INAXギャラリー名古屋/愛知
1991 「線の表現ー手と目のゆくえ」埼玉県立美術館/埼玉
「インターアート展」モスクワ
1993 「第一回軽井沢ドローイング・ビエンナーレ」脇田和美術館/長野
「素材の予感展」マスダスタジオ/東京新宿
1994 「半島の現代美術展ー海溝からのメッセージ」鴨川市民ギャラリー/千葉
「チバ・アートナウ'94」佐倉市立美術館/千葉
「国際丹南アートフェスティバル'94」武生市中央公民館/福井
1996 「氷点下のポリフォニー」ギャラリー・ラ・フェニーチェ/大阪
「さまざまな眼ー配島庸二、山本裕子二人展」かわさきIBM市民文化ギャラリー/神奈川
2004 「こどもワークショップ展」練馬区立美術館/東京
2005 国際アートセンター青森 アーティスト.イン・レジデンス・プログラム2005/春
「手と眼と耳の先へ」展/青森

その他
1960-99 雑誌「いけ花龍生」編集
1973 写真による評論集「町まちの文字」芳賀芸術叢書
1984 写真による評論集「祈りの文字」芳賀芸術叢書
雑誌「カリグラフイ」出版






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