Mariko Sakai
坂井眞理子展
光華明彩
RED

2008.2/5(tue) - 23(sat) 









 

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 光 華 明 彩   坂井眞理子新作について

 真っ赤な美しいものが、スーと通り過ぎた。しなやかに軽やかに優美にひらりと舞うと建物の陰に消えた。
 それは真っ赤な着物を着てピンクのリボンを髪につけた少女だった。七五三のお祝いらしく両父母、祖父母にやさしく守られて、柔らかく、無垢で初々しい。人生の期待と希望と、すこしの恥じらいを赤い着物に包んで、その未来は明るく輝いている。
 こんな風景が私に輝くいのちの燃え立つ一瞬を描かせる。私は、Cadmium Red Purpleを好んで使う。赤は欲望が渦巻く歴史の中で生きてきた。 16世紀、スペインのコルテスがメキシコを占領した時、現地の人がコチニール(カイガラムシの一種)という昆虫から美しい赤を作っていることに着目する。それからスペインはこの赤のお陰でヨーロッパで巨万の富を得るが、赤をめぐって各国との熾烈な戦いが起こる。世界の古代、日本の縄文時代でも魔よけ、いのちの再生を願って赤(うるし)が用いられている。即ち、赤は太陽の色、火の色、血の色であり、いのちの色なのである。赤を作るためにコチニールを飼育し、採集する仕事はとても困難であったという。
 そんな豊かで深い赤を使用できることが、私の絵を描く喜びである。多様に変化する社会の中で生き、押し寄せてくる情報をかいくぐり、ゆらぐ心で、キャンパスに油絵具で絵を描いているのだけど、赤色に対する私の信頼は決してゆらぐことはない。

 この赤で正方形を描く。抽象画が描きたくて、大学を卒業してすぐ留学してニューヨークで見た衝撃的な正方形の街と重なる。
「赤を形に関連させれば正方形である、赤の重量感と不透明さは、正方形の静的な重々しい形と一致する」と「色彩論」に書いたヨハネ・イッテンに、
私は同感するとお同時に、この定義を打ち破ろうとする。

2007年11月 坂井眞理子




 

坂井眞理子 Mariko Sakai
1962
女子美術大学美術科絵画科卒業
1962-64 ニューヨーク・ブルックリンミュージアムアートスクールに学ぶ
個展
1961 
中央画廊(銀座)
1964
紀伊国屋画廊(新宿)
1965
椿近代画廊(新宿)
1975,79
第七画廊(新橋)
1982
ギャラリーK(赤坂)
1984
ギャラリー・オカベ(銀座)
1985-87,89,90,92
ギャラリーK(銀座)
1986,88  モリスギャラリー(銀座)
1988 
オーランドアートスクエアー(埼玉)
1990,93
宇部興産美術サロン(宇部)
1992 Pinder Gallery(New York)
Jain MarunouchiGallery(New York)
牧神画廊(銀座)
1993 大分県立美術会館(大分)
1993,04 東邦画廊(京橋)
1994 ゆふいん駅ホール(大分)
1995 Water Wickiser Gallery (New York)
1996 La Galerie Art et Communication (Paris)
1997 村松画廊(銀座)
宇部市文化会館(宇部)
1997,99,02 Cares Gallery(New York)
1998,00 五拾壱番街ギャラリー(青森)
1999   オオヌキアンドアソシエイツ(京橋)
いながわや画廊(山形)
2001 ギャラリー由衣(三鷹)
川崎IBM市民文化ギャラリー
2004 菊川画廊(宇部)
柏木画廊、イラスト展(銀座)
2005,06  岳画廊「花」展(国立)
2007   ギャラリィ16(京都)
ギャルリー小川「花」(宇部)
2008 ストライプハウスギャラリー(六本木)
グループ展
1965   椿近代画廊(新宿)
1976 女子美術画廊(高円寺)
1977 檪画廊(銀座)
三越サンシャインシティー(池袋)
1983-89 女流展、東京都美術館(上野)
1985 日韓交流展、ハンガン画廊(ソウル)
1986 交際美術展(上野)
1989 フェノメナ'89(銀座)
1990 Groute Gersaint (Rhode Island)
1991 Bristol Art Museum (Toulouse)
1995 コンテンポラリー屏風展(池袋)
1996,98  Cares Gallery(New York)
1997,00-03 菊川画廊(宇部)
2004   女子美卒業クラス展、ガレリアニケ(高円寺)
2004-06 大村コレクション展(京都、山口、山梨)
2004-07 小品展、パレット(山口)
本出版
2000   『母と娘の都市巡り-街を彩る絵画と建築-』彩流社
2004 坂井眞理子作品集
2005 花画集『大地のほほえみ』愛育社



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