Ayano Watanabe
渡邊綾乃展
-bird garden-
2008.1/8(tue) - 1/26(sat)　





渡邊綾乃の描く世界は、無国籍な不思議な世界である。

　彼女の頭の中の物語が私たちに何を語りかけてくるのだろうか。

　



　

「bird garden」 　 渡邊綾乃

私の頭の中にはいつでも物語がある。それは例えばこんな物語。

今日もヅォーイ婦人はビロードの糸で蜘蛛の巣を編むのに夢中だ。
世話しない自らの指の軽やかなワルツを楽しんでいる。
それを見つめるのは小間使いのターニャ。

どうやら蜘蛛の巣にかかったのは
蒼い宝石でも黒い貴婦人でもなく彼女の方らしい。
それを見つめるのは猫のエリオット。
彼はすっかりと忘れられた彼の朝食のことで
恨めしげにターニャの足元で眉をひそめている。

それを見つめるのは庭師のジョージ。
ピンピンと動くエリオットの尻尾を目で追いかけている。
ヅォーイ婦人の庭の、草木で出来たバレリーナは今や片足だ。
そしてお向かいの家のシルビアは庭師のジョージに夢中だ。
彼に気づいてもらおうと今日も庭に花を植える。

もう庭は色とりどりの花でいっぱいだ。
そして花を目当てに今日も
シルビアの庭には蒼い宝石と
黒い貴婦人が優雅な散歩を楽しんでいる。

そしてヅォーイ婦人の家では
それを見ていた八本足の紳士が
御婦人達を招く為に躍起になって糸をはる。

そしてそれを見ながらヅォーイ婦人は
今日もビロードの糸で巣を編んでいる。


今日もヅォーイ婦人は私の頭の中で巣を編み続けている。

1983	北海道釧路市に生まれる
2002	武蔵野美術大学造形学部油絵学科入学
2005	初個展「bird cage」展(デザインフェスタギャラリー<原宿>)
2006	武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業 「birDream」展(ギャラリーb.TOKYO<京橋>)
2007	"meiro" 二人展 （目黒区民ギャラリー＜目黒＞)
2008	「bird garden」展(ストライプハウスギャラリー<六本木>)