私の作品の主材料は海岸の漂着物です。
漂着物の種類は種々雑多で、木や竹、草といった自然のものからプラスチック、発泡スチロール、ビン、缶類など人口のもの。魚、鳥、小動物の死骸・骨などなど…形態も実にさまざまで、創作意欲をそそります。
アッサンブラージュという技法は、まず断片があり、それを手に作品作りがスタートするのが特徴です。断片は、視点のおき方、組み合わせ・構成で予期せぬイメージを喚起したり、現出したりします。この技法の面白さが、実に魅力的で、平面(コラージュ)、立体作品ともに創作する楽しさが満喫できます。
波間を漂い、岩に砕かれ、砂に磨かれる時間を経たモノたちの風情は多彩で魅惑的です。なかでも流木の類いは“そのままのカタチがすばらしい!”と思うことが度々あります。が、これらのモノたちはあくまでも素材であり、ノコギリで切断、ボンドで接着、手を加えて色を塗り、私のカタチに変貌させます。
自然が原形を作り、私が仕上げ作業をして出来上がった作品は、いわば共同作業の産物ともいえます。
台風や嵐のあと、海辺に出向き漂着物を拾集することが日課の一つとなり、いまや収納スペースに事欠く状態、作業場は満杯ですが、荒天の翌日ともなると血が騒ぎ、ジッとしていられず“断片からのスタート”という名の欲求が、足を海へ向かわせます。
“もうヤメテ!”狭いアトリエの悲鳴を聞きながら…。
SCRAP WONDERLAND -断片からのスタート 池田忠利 |