荒田秀也展
亜大陸・点景
2006.03.1-23

荒田秀也は、装幀・装画家であり、
数々の本の装幀を手がけています。
また、30年以上前から北緯40度線上の
中国・中央アジアを旅してきました。
それは期せずして生まれ故郷岩手につながる
自らのルーツを探るものとなりました。
 日本人の根源への興味のつきない
作家の目にした景色やものが表現される展覧会となります。
 展示は平面作品約20点。




 亜大陸・点景  荒田 秀也

 亜大陸の文化伝播に魅せられ、自分のルーツ探しの旅を30年余り。始まりは1970年代、アフガニスタン北部に残るバクトリア時代の遺跡に立ったとき。アムダリアの大河を越えたその向こう、中央アジアの草原が私を呼んだ。その呼び声は、まさに草原からの啓示ともいえるものであり、それ以来、脳裏から消えることがなかった。
 インド亜大陸文化圏をアプローチすることから、辺境といわれる土地への旅、しばらくして中央アジア・サマルカンドと、憧れのステップルートの土を踏むまでにはそれなりの時間を要した。

 こうして歩いた道は、期せずして生まれ故郷の岩手を通る北緯40度線上にあたる。帰巣本能とでもいうべきなのか、きわめて暗示的な符号を感じないではいられなかった。 騎馬民族チュルク(突厥)が遥か遠い祖先では…、との夢想がふつふつと湧いてくるのだった。
そして、いずれ突厥の故地でもあるモンゴルへ旅立ってみたいおもいが数年前にようやく叶った。アルタイ山脈の広大な谷,また地の果てを知らぬような大草原のなか、いたるところに古代の墳墓が残されていた。以前,中央アジアで見た突厥時代の石人像が1300年ほど経たいまも、しっかりモンゴルの大地に立っていた。この石人の髪面は何を語るのか。静寂のなかから聞こえてきたのは、まぎれもなく古代に生きた先人たちの声であった。にわかに、遠い祖先との距離が縮まったように感じられたことを思い出す。
 
 旅を通して見たものは、時空を超えて受けつがれた地・水・火・風からなる自然に対する深い畏敬の念と、したたかに生き続ける人々の姿であった。今まで制作のバックボーンになっているものは、源郷への旅、その地平の彩りでもあるといえるだろう


荒田秀也略歴
1935 岩手県に生まれる
武蔵野美術学校卒業
装幀・装画家。日本図書設計家協会会員。
1973 造本装幀コンクール ユネスコ・アジアセンター賞 受賞
1982 現代童画会 会員作家賞 受賞
2000 公開講座・世紀末大学より PASSPORT FOR FUTUREを受ける
 亜大陸の文化伝播に魅せられ、自分のルーツ探しの旅が30年余り。歩いた道は期せずして生まれ故郷を通る北緯40度線上にあたる。これは帰巣本能ともいうべきか、大きな関わりを暗示しているようだ。「南船北馬」でいう北方草原の道だが、騎馬民族チュルク(突厥)が遥か遠い祖先では……と夢みている。
 しかし、日本人の生活習俗・思想信仰は、逆に南の海原文化も濃厚である。我々の血のなかには北と南、双方のながれが渾然一体となり形成されているのではないかと興味がつきない。
主な展覧会
1976-86 現代童画会展」第1回より出品 東京都美術館
1983 「亜大陸点景」スケッチ個展 銀座GALLERY MIKAWA
1986 「亜大陸点景」個展 青山 COSY SPACE
「中国・敦煌からの絵葉書」個展 新宿日債銀ロビー
1989 「旅・ねほり・はほり」個展 盛岡クリスタル画廊
1993 「装幀・装画・素描」個展 岩手・二戸市民文化会館
「現代日本のブックデザインの潮流 図書設計展」乃木坂アートホール
1995 「ART-PICNIC'95」グループ展出品 ストライプハウス美術館
2001 「東方の時空点」グループ展出品 銀座アートギャラリー
2002- フラクタス」新芸術集団 グループ展出品  宮崎県立美術館
2002 「岩手グラフィックデザインの流れ1901~2002」展
萬鉄五郎記念美術館
2003 「BOOK DESIGN NOW 2003」装幀作品出品
特種製紙総合技術研究所 Pam
2005 「風の視覚」引田町並みリーフレット・絵はがき原画個展
香川県東かがわ市讃州井筒屋敷
2006 「亜大陸・点景」個展 ストライプハウスギャラリー




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