浜 肇子のちりめん細工展
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Hatsuko Hama
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小さな大きな布宇宙
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2003.10.03-17
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浜肇子は、浅草に生まれ、1959年より伝統工芸作家の小松康城氏のもとで本格的に人形づくりを始めました。そこで繊密な手法を身に付け、その後現代人形作家の浜いさを氏に師事し、人形のかもし出す雰囲気の大切さを学び、1990年頃から細工物の制作を始めました。浜肇子作品は、自分の幼い頃の下町の祭りや風物、自然とのふれあいの記憶をもとに作らています。愛らしい郷愁の世界が開けたところから見られるものが、ものに対する繊細な心配りと人に通ずるやさしさにつながれば幸いです。
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浜 肇子コメント |
最近では江戸ちりめんとよばれるような良いものは手に入れにくくなりました。細工物のために新しく織られたものが出回っていますが、色や柄、手触りなど昔のものにはかないません。それだけに絵柄の気に入った古い布に出会い、手に入った時が新しいデザインのイメージがわく時でもあり、心踊るときです。私の目指しているものは、古来から唐子人形と呼ばれているものや、市松人形、その他の和風の人形を中心に、10センチから大きくて20センチ、あるいはもっと小さな世界です。細工がしやすくあつかいやすい薄手のもの、柄の細かいもの、そうした条件に合いさらに美しさに定評のある江戸ちりめんなどを大事に使いながら作っています。その他に金紗や各種の帯地、糸や紙類も絹のものを使い、中に詰めるものは青梅綿や脱脂綿で、すべて天然素材を使います。人形に合わせて、懐かしい玩具を作って人形に添えたりしていますが、それらも素朴な古市を中心に、和紙、木などの自然のものを使うようにしています。こういったものは手で触れていてもすごく気持ちのいいものです。そうした感触の中から語られなくなった昔話や、言い伝え、生活習慣、そこに出てくる動物や事物を擬人化したり、また新しい解釈でデザイン化して遊んで楽しめるものを作りたいのです。そこから大勢の方々と共有できるものが生まれればと思っています。優しげで懐かしい細工物ですが、若い人にとっては珍しいものということでしょうし、私としても勉強しながら現代の感覚にも通ずる作品を作って、年齢に関係なく多くの人に喜んでいただけるものを作り続けたいと思っています。このごろ日本的な物を見直して、そこから新しいものを作ろうという風潮がでてきました。いかにも日本的で小さく優しい細工物の世界ですが、一工夫も二工夫もすることで現代にも通ずる作品になるのです。今回の個展では懐かしい子供の遊びをテーマに選びました。また、重陽の節句(菊の宴)陰暦の9月9日に合わせて、菊の花をモチーフに華やかな雛飾りにしました。
※重陽の節句(菊の宴):中国より伝わり、陽の数9が重なり縁起が良い日に菊で全てを飾り付け菊料理を用意するなど、平安時代には宮中の年中行事であった。 |
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浜 肇子略歴 |
1939 |
京浅草に生まれる |
1959 |
伝統工芸人形作家小松廃城氏に師事。「さくら人形」と呼ばれた歌舞伎の世界などの和風人形を作る。 |
1965 |
現代人形作家浜いさを氏に師事。西武デパート、朝日カルチャーセンター等の教室の助手を勤める傍ら、布による創作人形を制作。 |
1993 |
独自のちりめん細工制作開始。 |
1995 |
渋谷東急セミナーBEで細工物教室
浜松由美画廊・吉祥寺ギャラリーrあ一とらんだむ」・銀座教会ギャラリー・
長岡丸専デパート、個展・グループ展多数 |
2002 |
横浜ギャルリ・パリ個展 |
2003 |
北鎌倉駅前に教室及び常設ギャラリー、人形工房「銀の針」開設
「浜華子のちりめん細工展小さな大きな布宇宙」(ストライプハウスギャラリー;六本木)
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著書 |
写真集「浜聖子のちりめん細工・ひな形の世界」島津書房 |
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