松沢 香代 人形展
2003.09.04-27
 
 松沢香代は、人形劇団に七年間操演者として所属し、劇団退団後、フリーの造形作家として素材を選ばない独創的な創作活動を始めました。人形遣い黒谷部は、美しく人形と一体化して舞踏の要素なども取り入れ、観客を魅了してきました。ライブハウスでの人形芝居や、ストリートパフォーマンス、市川猿之助大歌舞伎、テレビ、映画にも多数出演しています。今回の展覧会では、前半は、人形の展示を、後半は展示に加え黒谷都と松沢香代の共同創作による公演を10日間行います。展示ではギャラリー空間を自由に使って松沢香代の世界が創りだされます。そして、イベントでは黒谷部がその人形たちとたわむれ、幻想的な世界は動きだし、さらに広がってゆきます。

松沢 香代 コメント
 
掴まれたつばさ
海に落ちた魚。
泳ぐセーター
袖の中の双子。
大きく黒い肌
太いまゆげのピアノ。
首をのばした母
笑う子。

椅子に座る看護婦

curtainにかくれた蟹
泡をふくめだま。
とける鰭。トケルヒレ
かける鱗。カケルウロコ

海の底を歩く。



松沢 香代 略歴
1966 東京都に生まれる
1988-95 人形劇団「ひとみ座」所属
劇団活動とともに、劇団内自主公演にも参加退団後、造形作家として活動開始。
1998 ひとみ座有志公演「青い耳」人形・舞台美術、操演;横浜ST・スポット
「三日月丸」旗揚げ公演「唾物語」人形・舞台美術;雑司ヶ谷克子母神境内三日月丸テント(操演:黒谷部)
「この奴」公演「聞け!万国の労働者」人形美術;東中野plan-B
人形展;西荻窪ギャラリーサパナ
1999 「kuinka」人形・舞台・衣装美術:新世紀人形展(ドールフォーラムジャパン)にて公演;六本木ストライプハウス美術館(操演:黒谷都)
2000 人形展;西荻窪ギャラリーMUHAN
2001 ライブハウスでの月例連続公演r誰雷」人形・舞台・衣装美術;西荻窪ライブハウス音や金時(操演:黒谷都)
2002 ピアノリサイタル公演「MICA&MIYAKOファンタスティックナイト」人形・衣装美術;銀座王子ホール、鶴岡中央公民館、米沢三條かの記念館(操演:黒谷都)
「私の好きな昔の話」衣装;こまばアゴラ劇場
個展「curtain 松沢香代人形展」;六本木ストライプハウスギャラリー





genre:Gray 利己的物体と奉仕的肉体によるグロテスク
「kaの部屋のku」

 造型作家・松沢香代と人形遣い・黒谷都の共同創作。
 kaの部屋とは、松沢香代の創造するオブジェの棲息する場。
  管理人は密かに住う。
 kuとは、モノたちに招かれた黒谷部の、それらの発語をささえる手。
  手には身体がついているこの度の独白は、或る人魚の未熟な死を巡る流離証らしい…
  桃栗3年、柿8年。柚子のばかやろ18年。

Progressive note 1 200×年×月×日

 あれから2つの薬をのみました
 1つの薬は立ち行かなくなった脳の働きを回復してくれるものでした
 脳の働きが回復しても壊れた心は直りません
 それが判らなくってすがるように薬をのみ統けました
 健康になった脳は「薬は現実を変える物ではない事」を壊れた心におしえます
 壊れた心は「破壊された現実は自分のやった事なんだ」と知ります
 その苦しみに生きるにはもう1つの薬をのむことしかありません
 それは時薬
 田舎の療養所で老婆が教えてくれた薬だと先生は云いました
 時の薬はもう決して届かぬ幻を待てるという諦念と親しい我慢強さの薬です
 絶望に浸された残酷で哀れな存在を忘れさせてくれる薬です
 悲しみの繭が時薬の羊水に浮かびました
 それを抱えながらほほえむようになれました
 一時の平和な地点でした
 なのに『不在感からの焦燥を鎮魂し、巡り会う為の転生を夢見る』
 事の現実逃避を知れ!と、彼方から誰かが言ってくるのです。
 時の薬が届かぬ所にどうして行こうとするのでしょう
 お人形さんは泣かない
 恨み言も云わない心のキスもつかない

黒谷 都※黒谷 都HPはこちら
 人形劇を他のジャンルと分ける要素は「人形と人形遣いのいる演目表現」という立場に立脚し、人形と人形遣いの関係を見せていこうとする日本では数少ない人形遣い。その基礎となる精神風土には、日本古来の塊偶のあり方が息づき、自身と人形の水平な関係、また、命が両者を行き来する巫女的やわらかさに特徴がある。

 genre:Gray 現在、自分の表現形態を「genre:Gray=奉仕的物体と利己的肉体或いは利己的物体と奉仕的肉体によるグロテスク」と位置づけている。

黒谷 都 略歴
1954 東京都に生まれる。
1974 人形劇団に入団し、人形遣いとして活動を開始。人形劇団「ばぺっと」、ガイ氏即興人形劇団、劇団「人形の家」を経て、『銀猫商会』を旗揚げ。以後2002年まで、主宰をつとめる。

1998 「人形演劇プロジェクト2000jスタートチェコよりペトル・マターセク氏を招き、オブジェクトシアターのワークショップを通して、日本の現代人形劇をとらえかえす企画代表をつとめる。
「三日月丸」旗揚げ公演「嘘物語」出演;雑司ヶ谷鬼子母神境内三日月丸テント
銀猫商曾公演フークロ劇場「おひさまぽんち」企画制作、操演;荻窪アールコリン
1999 スイス・フリブールにてソロ作品「赤ずきんの血族」公演
チェコ国内にて、KUROSOLO壱番「半月」14回公演
「人形演劇プロジェクト2000」主催;両国シアターX「人形演劇プロジェクト2000」オーデション・ワークショップ開催、参加
「ku in ka」操演:新世紀人形展(ドールフォーラムジャパン)にて公演;六本木ストライプハウス美術館
2000 市川猿之助10月大歌舞伎 操演参加;歌舞伎座
いなさ人形劇まつりに於いて「人形演劇プロジェクト2000」の活動に対してアザレア賞受賞
2001 日本=マレーシア現代演劇コラボレーション参加rあいだの島」;シアタートラム
ライブハウスでの月例連続公演「譫言」操演;西茨窪ライブハウス音や金時
2002 市川猿之助10月大歌舞伎 操演参加;大阪松竹座
ピアノリサイタル公演「MICA&MIYKOファンタスティックナイト」操演;銀座王子ホール、鶴岡中央公民館、米沢三候かの記念館
飯田人形フェスタ参加
路上パフォーマンス「魚鱗館・路を街皇う」;名古屋、大領大道司祭に参加
ライブハウスでの月例連続公演「夢うつつ現つの夢」夢の番外「ハッピーエンド」
2003 大阪IT0企画公演にて、魚鱗館公演;吹田メイシアター
東京経済大学、松川ゼミr身体表現」にて 魚鱗館公演
魚鱗館ラオス・タイ公演敢行
「kaの部屋のku」progressive note 1;六本木ストライプハウスギャラリー




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